小さいお嬢さんからご年配まで、女性に人気のプリンセス・ストーリー。
記憶に新しい「アナ雪」含め、ディズニー作品には数々の有名なプリンセス・ストーリーがあります。
しかし意外と知られていない、続編があることを知っていますか?
劇場公開されていないため地上波放送もなく、意外と知られていない作品が多くあります。
そんなプリンセスたちのその後を、ご紹介します。
シンデレラⅡ
2002年2月23日にOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品として発売されました。
『シンデレラ』は1950年2月15日に公開されたので、実に半世紀がたった後の続編となります。
【あらすじ】シンデレラ結婚後それぞれのお話
王子と結婚したシンデレラとともに王宮へ引っ越したねずみのジャックやガスたちは、シンデレラが結婚したあとに起きた3つのエピソードをまとめた絵本を作り、シンデレラにプレゼントすることにした。
第1話
王子とのハネムーンを終えて王宮へと戻ったシンデレラは、作法係のプルーデンスから礼儀作法の指導受ける毎日。
しかし、あまりに数多の古風な”しきたり”にうんざりする。
王子と王が留守の間に晩餐会を取り仕切ることを任されたシンデレラは自分らしく生きようと決心する。
第2話
ねずみのジャックはシンデレラと王宮へ引っ越したが、シンデレラを手助けする機会が少なくなったことに虚しさを感じていた。
人間になれば役に立てるようになると思っていたところ、フェアリー・ゴッドマザーが現れ、魔法の力でジャックを人間にする。
人間になったジャックは、シンデレラの役に立とうと奔走する。
第3話
シンデレラの継母のトレメイン夫人は、娘のドリゼラとアナスタシアを貴族などの上流階級の家に嫁がせることを目指している。
しかしアナスタシアは、良い香りに誘われて入ったパン屋の主人に恋心を抱いてしまう。
しかし上流階級でないからという理由で、母親とドリゼラにパン屋へ来ることさえも禁止されてしまった。
このやり取りを偶然見かけたシンデレラは、アナスタシアの恋を実らせるべく手助けすることを決める。
【感想】身の丈にあったしあわせ?
三つの話が共通するテーマは「自分らしく生きること」
第1話は、結婚後に文化や価値観の違いで「こんなはずはなかった」と思ってしまう、よくあるテーマです。
第2話は、ねずみのジャックが「ねずみであること」を受け入れていくお話。
私としては第3話が一番印象に残りました。
アナスタシアはシンデレラの手助けもあり、最終的にパン屋の主人と結ばれます。「めでたしめでたし」とも言えますが・・・。
アナスタシアはトレメイン夫人の娘にしては、ちゃんとした価値観を持ちかわいらしいところのある女性です。
しかしパン屋のご主人は、おせじにも格好いい男性でもなく、お金持ちでもありません(性格はすごくいい人のようですが)
やはりシンデレラのように美人でないと玉の輿になれないのだなぁ、としみじみ思ったお話でした。
私は窮屈な王妃の暮らしなどしたくないし、しっかり働いているパン屋のご主人の方が好きです。
それでも、なんとなくシンデレラの「あなたの恋を手助けするわ」という言葉が「上から」な感じがしてしまいました。
全体的には、短いお話が3つ収録されており、それぞれがわかりやすいストーリー展開のため、小さいお子さんには『シンデレラ』よりこちらの方が楽しめるのではないかと思います。
特に第2話はジャック以外にも動物たちがたくさん出てきて、明るくかわいらしいお話なので小さいお子さんにおすすめです。
シンデレラⅢ戻された時計の針
2007年2月6日(日本語版は同年2月23日)にOVA作品として発売されました。
(『シンデレラ』は1950年2月15日に公開されました。)
【あらすじ】トレメイン夫人の陰謀
シンデレラは王子と結婚し、幸せな生活を送っていた。
一方、シンデレラをいじめていた継母トレメイン夫人と娘たちは、貧乏でみじめな生活を送っていた。
ある時、娘のアナスタシアはひょんなことから、シンデレラがフェアリー・ゴッドマザーの魔法に助けられたことを知り、また偶然魔法の杖を入手する。
事情を知ったトレメイン夫人は、魔法の力を悪用して、時間をガラスの靴の主を探す使者が来る直前まで戻してしまう。
魔法でガラスの靴のサイズをアナスタシアの足に合わせ、王子と結婚させようと企んだのだ。
魔法を使ったことを知らないシンデレラは状況が飲み込めずにいたが、あきらめずに王子と会うべく城へ向かう。
【感想】意外としたたかなシンデレラ
なんとなく棚ぼた式に王子と出会って幸せを手に入れた『シンデレラ』と違い、この作品のシンデレラは幸せに貪欲で、どんどん王子へアプローチしていきます。
城へうまく潜り込み王子と会った時は「私のことわかるでしょ?」と自信満々な上目使い。
その時王子は魔法にかかっていたのでシンデレラのことはわかりませんでしたが、それでもシンデレラはあきらめません。
召使いのふりをしてお城に潜り込んだり、魔法で城を追い出されてボロボロになっても戻ってきて結婚式に乗り込んだり、ガッツがあります。
ただのシンデレラ・ストーリーではないところは面白いですが、古典的なシンデレラ像(プリンセス像)が好きな人はあまり好みではないかもしれません。
『シンデレラⅡ』と同様に、アナスタシアがいい味出しています。
リトルマーメイドⅡReturn to the sea
2000年9月19日(日本では2006年10月4日)にOVA作品として発売されました。
(『リトルマーメイド』は1989年11月15日に公開されています。)
【あらすじ】アリエルの娘メロディの物語
前作『リトル・マーメイド』で結ばれたアリエルとエリック王子の間に、メロディという女の子が誕生した。
メロディの誕生を祝う中、アースラの妹モルガナが現れアリエルとエリック王子へ宣戦布告する。
メロディの身を案じた二人は、12年間メロディを海の世界から遠ざけ、アリエルが元人魚だったことも秘密に育てるが、メロディは海の世界に対して強い憧れを持っていた。
ある日海でこっそり泳いでいたメロディは、自分の名前が刻まれた貝のロケットを発見し、何か自分に隠された秘密があることを疑うが、母親アリエルは何も教えてくれない。
不信感を抱いたアリエルは海の世界へ赴き、モルガナの元へ導かれて行く。
【感想】アリエルはなぜ娘の気持ちがわからない?
アリエルはなぜ娘の気持ちがわからないんだろう?とイライラしました。
大人になると、親になると忘れてしまうのでしょうか。
アリエルは自分がどれだけまわりから止められようと、説得されようと、自分の欲求のまま行動していました。(それでどれだけまわりが心配したり、迷惑がかかったりするのか全く気にせずに)
それなのに娘のメロディには「海へ行ったらダメといったでしょ!」「あなたのためなのよ!」と無理やり押し付け、その理由は一切教えません。
自分だったらそう言われてどう思った?
自分だって言うこと聞かなかったよね?
そして後で「あの子にちゃんと話せばよかった・・・」って、遅すぎます。
メロディはエリック王子のきりっとした女の子ですが、本人は容姿があまり美しくないことも気にしていました。アリエルのような母親とあまりうまくいかないだろうなぁ・・・と思います。
『リトルマーメイド』好きな人にはあまりおすすめしない作品です。
リトルマーメイドⅢはじまりの物語
2008年8月26日(日本語版は2008年9月26日)にOVA作品として発売された。
(『リトルマーメイド』は1989年11月15日に公開されています。)
【あらすじ】アリエルとエリック王子が出会う前のお話
アリエルがエリック王子と出会うずっと前、アトランティカの海の王国では“音楽”が禁じられていた。
アリエルが5歳の頃母アテナが亡くなったのだが、父トリトンはその悲しみから逃れようとアテナが愛していた音楽をアトランティカで禁止したのだった。
10年後、成長したアリエルは友達のセバスチャンとフランダー、そして6人の姉たちの助けを借りて、音楽と友情そして愛を、王国に取り戻そうとする。
【感想】単純な娯楽作品
『リトルマーメイド』前のエピソードで、まだ陸に憧れていない頃のアリエルのお話。
悪役は家庭教師マリーナ・デル=レイは「セバスチャンの座を狙っている」という小さい目的であり、スリルもロマンスもなく、77分も必要ないのでは?というストーリーです。
30分のスピンオフ作品(『アナと雪の女王』ならば『エルサのサプライズ』ぐらい)でよいのではないかと思う作品です。
ムーラン2
2005年2月1日(日本では2004年12月17日)にOVA作品として発売されました。
(『ムーラン』は1998年6月19日に公開されています。)
【あらすじ】歴史よりラブストーリーがメイン
ムーランが中国の英雄となって1ヶ月後。ムーランは前作で隊長であったリー・シャン将軍からのプロポーズを受け入れる。
そんな中、公邸からムーランとシャンに、3人の皇女を同盟国まで護衛する命令が下る。
皇女たちが同盟国へ向かうのは、政略結婚のためだった。
しかし道中でアクシデントのため皇女たちの馬車が崖から落ちてしまい、護衛係のヤオ、リン、チェン・ポーが皇女たちを連れて近くの村で一夜を過ごし、それぞれ互いに恋心を抱いてしまう。
そんな彼女たちを応援するムーランと反対するシャンは、互いの溝が深くなっていく。
【感想】典型的なマリッジ・ブルーでは?
自分の立場が危うくなって、いろいろと画策する守護龍ムーシューによりバタバタとかきまわされます。
内容は典型的な「マリッジ・ブルー」で、ムーランが「本当にこの人でいいのかしら?」と思い迷うところに3人の皇女と3人の護衛の恋愛が入り混じるお話です。
ストーリーとしては面白くないこともないですが、壮大な歴史ストーリー『ムーラン』の後では、小物感が否めません。
後半は政略結婚とからめて壮大感を演出していますが、『2』を謳うよりはテレビシリーズといった感じです。
ただ、観て嫌な気持ちになるお話ではないので、時間がある時に見るおすすめ作品です。
ピーター・パン2ネバーランドの秘密
プリンセスではありませんが、こちらも続編があったのでおまけとして紹介しておきます。
2002年2月15日(日本では12月21日)に劇場公開されています。
【あらすじ】現実からおとぎの国へ
第二次世界大戦下のロンドン。
成長したウェンディは二人の子供の母親となっており、毎夜ネバーランドでの冒険の物語を子供たちに語りかけた。
しかし娘のジェーンは、戦争という厳しい現実の中で夢見る心を忘れてしまっていた。
空襲が激しさを増していた日の夜、ジェーンは弟のダニーに「ピーター・パンは存在しない」と言い喧嘩してしまう。
一人子供部屋に引き籠るジェーンは、そこで海賊船に乗って現れたフック船長にウェンディと間違えられネバーランドに連れ去らわれてしまう。
現れたピーターにジェーンは助けられるが、ロストボーイズたちと心を通わせられず、ティンカーベルに対して「自分が一番信じていないのは妖精だ」と言い放つ。
ジェーンの言葉をきっかけにティンカーベルは生命力を失っていき、ピーターはジェーンを仲間に入れて「妖精を信じる心」を取り戻させ、ティンカーベルの元気を取り戻そうとする。
【感想】時代にあったお話と秀逸のラスト
今回紹介した続編の中で、一番よいお話だったと思います。さすが劇場公開作品なだけあります。
いつまでも夢を忘れないで、という母の気持ち。
自分がしっかりしないと、と現実的な娘。
その間にあるネバーランド。妖精を信じる心が失くなってしまうと消えてしまうティンカーベル。
『ピーター・パン』のおとぎ話感や古臭い感じが全くない、現代の子供にも受け入れやすいお話だと思います。
最後にピーター・パンと大人になったウェンディのシーンがすごくよいです。
このシーンを見るために、もう一度見たくなる作品です。
『2』と謳われている作品は大抵、「続編」または本編のサイドストーリーやスピンオフといった「本編の付属」のストーリーとなります。
プリンセスのその後が知れるのはおもしろいですが、やはり完結したストーリーの続編はあまり面白くありませんね。
劇場公開されないオリジナルビデオアニメーションのため、スケールの小ささも否めません。
ただやはり、主人公の「その後」は気になるものです。
気軽に観られる作品が多いので、家族で見て意見を言い合ったり「理想の続編」を話し合ったりすると楽しいですね。