どちらが好み?ディズニー映画の「原題」と「邦題」

ディズニー作品に限らず、洋画が日本で公開される時に原題と全く違う邦題となる場合があります。

それは日本では同じ英単語でも受け取り方が全く違ったり、文化的背景が違ったりするからです。

映画をヒットさせるためには、やはり内容がわかりやすかったり、興味を持ちやすい方が有利です。

その一方で「なんでこんな題名になった!?」と思うような、ダサい題名もあります(ディズニー作品のことではありません)

意外と知らないディズニー作品の原題について、個人的見解を交えつつ解説していきます。

 

原題と全く違う邦題の作品

塔の上のラプンツェル

原題は『Tangled』

TangledはTangleの過去分詞で、「(結び目などが)もつれた、からまった」という意味であり、ラプンツェルの長い髪を表しているそうです。

「もつれた母子」「もつれた運命」「もつれた感情」を表しているのかもしれません。

この映画の前作品は『プリンセスと魔法のキス』でしたが、ディズニー社が予想していたほどの収益は得られませんでした。

ディズニー社は原因が「プリンセス」を強調しすぎていたために男子層からあまり支持を得られなかったことにあると考え、次の原題を『Rapunzel』から『Tangled』に変更しました。

しかし日本では、より女子層に受け入れられやすい『塔の上のラプンツェル』となったところが日本文化だな、と思います。

メリダとおそろしの森

  原題は『BRAVE』

「勇敢な」「勇ましい」を意味する言葉であり、その名の通り勇敢なプリンセス「メリダ」を主人公としたお話です。

ピクサー作品は「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「カーズ」など、原題ままの作品が多い中、これだけ原題と違う作品は珍しいです。

今作品はピクサー作品としては初めてプリンセスが主人公となるお話なので、そのあたりが伝わりやすいようにつけられたと思われます。

全世界で興行収入5億ドルを超える大ヒット作となったものの、日本では最終興行収入9億円にも届かないという対照的な興行成績となりました。

ピクサー作品の中では、コロナ禍で興行収入が激減してしまった『2分の1の魔法』を除くと最低の興行成績です。

アナと雪の女王

 原題は『FROZEN』

freezeの過去分詞で、「凍った」「氷結した」という意味です。

『Tangled』『BRAVE』共にそうですが、名詞ではない題名は、わかりやすいように説明的な邦題がつきますね。

『雪の女王』だとアンデルセン童話と同一視されるのを避けたのか、”アナと”が付けられています。

このおかげで「アナ雪」と略されてその題名も認知されました。

邦題の方が良い作品

カールじいさんと空飛ぶ家

原題『Up』

「上がる」という意味ですが、そのまますぎますよね。

「○○と△△」は邦題でよく見る題名で、私個人としては説明的過ぎてあまり好きではない翻訳です。

ですがこの作品においてはこれぐらい説明的でないと、「観たい!」という意欲が沸かないかな?と思います。

たくさんの風船で家が空を飛ぶというビジュアルと相まって、興味がそそられる題名です。

プリンセスと魔法のキス

 原題は『The Princess and the Flog』

『プリンセスとカエル』という題名では、私を含め日本の女性には響かないでしょうね・・・。

『プリンセスと魔法のカエル』でもダメかもしれません。

「魔法のキス」とロマンティックな雰囲気を醸し出して頑張りましたが、日本での興行収入は4億6千万円とあまり奮いませんでした。

お話的には、主人公ティアナは自立した女性であり、単なるプリンセスストーリーではないおもしろさがありました。

アメリカのディズニーランドとWDWの「スプラッシュ・マウンテン」はこの作品をモチーフにした施設に改装することを発表しています。

東京ディズニーランドの「スプラッシュ・マウンテン」にも設定変更の要望はあるようですが、この作品の知名度が日本では今ひとつのため、どうなるのか注目しています。

2分の1の魔法

 原題は『Onward』

意味は「前へ」「前進する」などで、そちらもいい題だと思いますが『2分の1の魔法』は、なかなか詩的でいい題名だな、と思います。

コロナ禍で興行収入が伸び悩んだのが残念です。

シュガー・ラッシュ

原題は『Wreck-It Ralph』

「Wreck」は破壊、破滅という意味です。「Wreck it Ralf」は主人公「壊し屋ラルフ」の名前です。

『フィックス・イット・フェリックス』というゲームの中で壊しまくる悪役キャラです。

一方『シュガー・ラッシュ』はラルフのゲームとは別の、レーシングゲームの名前です。

ラルフはこの『シュガー・ラッシュ』の世界に迷い込み、そこでヴァネロペという少女に出会い、段々と自分の境遇を受け入れるようになります。

『シュガー・ラッシュ』はお菓子の国を舞台とするレーシングゲームなので”sugar(砂糖)”、”rush(突進する、急ぐ”)という英語が使われているのでしょう。

日本でそれが邦題になったのは、言葉の響きが日本人の持ついいイメージとつながったのではないかと推測します。

そのせいで、続編の『シュガー・ラッシュ・オンライン』は少々違和感がある題名になってしまったな、と思います。

『シュガー・ラッシュ・オンライン』には、ゲーム『シュガー・ラッシュ』の世界はほとんど出てこないからです。

続編の原題は『Ralph Breaks the Internet』(ラルフがインターネットを壊す)となっています。

リメンバー・ミー

 原題は『Coco』

映画を観た人ならわかると思いますが、ネタバレを含んだ題名です。

「リメンバー・ミー」という曲と相まって覚えられやすく、しかも「リメンバー・ミー(私を忘れないで)」という英語は日本人でもなじみがあるので、余計な説明を付け足さなくても感動的な内容が想像できました。

ちょっと「うーん?」と思う邦題作品

レミーのおいしいレストラン

 原題『Ratatouille』

「ラタトゥイユ」はフランス南部プロヴァンス地方、ニースの郷土料理で夏野菜の煮込みです。

作中で大事な役割を占める料理なので、それが題名なのは個人的に「オシャレだな」と思います。(少々ネタバレだな、とも思います。)

また、主人公のレミーがネズミ(rat)であることにかけているそうです。

しかし「レミーのおいしいレストラン」はちょっと、いかがなものかと思います。

もう少し捻れることができなかったのか?と思います。

おしゃれキャット

原題『The Aristocats』

Aristocatsとは、「貴族階級」という意味のaristocratをもじったものです。

金持ちの家の美しい飼い猫ダッチェスと野良猫オマリーのお話なので、「身分違い」もテーマにしたお話なのではと思います。

ダッチェスとは「公爵夫人」という意味だそうです。

そのあたりを安易に「おしゃれ」と訳したのは、子供向けと考えたからでしょうか。

この時代のディズニー映画の邦題は「わんわん物語」や「101匹わんちゃん」など子供向けな感じがします。

アーロと少年

 原題『The Good Dinosaur』

「良い恐竜」という意味が「アーロと少年」に。

あまりに安直すぎないか?もっと考えられなかったのか?と思います。

全く内容を想像できず、観たいという気持ちを駆り立てません。

予告編ポスターのキャッチコピーは「初めて、誰かを守りたかったー。」なので、その辺りが感じられる題名だと良かったなと思います。

 

以上、かなり個人的な偏見をまじえつつの紹介でしたが、いかがだったでしょうか。

最近のディズニー作品、特にピクサー作品はあまり原題と邦題の違いがありませんが、題名がいかに大事かということは興行収入を見るとよくわかります。

3月に公開予定の最新ディズニー作品『ラーヤと龍の王国』は、原題は『Raya and the Last Dragon』(ラーヤと最後の龍)です。

どちらの題名が自分とピッタリの感覚なのか?確かめるのが楽しみですね。